土曜日 3:10 p.m.–3:30 p.m.

地図利用におけるコンプライアンス~オープンデータの活用~

浅野和仁

説明

行政の地図利用におけるコンプライアンス視点から、商用地図、地理院地図、OSMを比較し、行政事務だけでなく地域活動の共有基盤としてOSMの充実を目指す取り組みを紹介する。

概要

 行政においては、様々な地図が業務または行政への申請図書として利用されているが、その多くは著作権等の第三者権利を無視した使用形態となっている。富田林市では従前より、業務における商用地図の利用に警鐘を鳴らしてきたものの、やはり多くの商用地図が違法に複製され、様々な書類に添付されてくる。  一方で、本市域におけるOSMの整備率はこれまで一部のボランティアの活動に支えられて整備されつつあるが、まだまだ未整備のエリアが多く残っている。富田林市では行政が作成する地形図は毎年定期的に更新しており、現在では、道路、上下水道など各種施設台帳はもとより、都市計画図、基盤地図情報に至るまで、その定期更新する地形図を転用している。つまり、どの地図を使っても位置情報が一致するという状況にある。  また、富田林市では現在商用地図を活用している施設案内サイトをOSMに移行することを決定しており、市としてはOSMの定期更新についても積極的に関与し、市域における地図の位置精度に一体性を持たせて、今後活用が期待される空間情報の精度差による齟齬を未然に防いでおこうと考えている。つまり、職員や市民等の多くの人たちが、行政やOSMで提供されるどの地図を利用しても、相互に正確に情報共有ができるというものである。しかし、全国的に見てもこのような行政主導の取組みは例がなく、先例としては浦安市、鯖江市において市のオープンデータを用いて第三者がOSMにインポートした例はあるものの、行政がOSMインポートを目的として地形図のオープンデータ化を進めているところはない。  今後、地図や空間情報を活用した地域活動が進展する中で、行政が持つ地形図を広く、誰もが自由に使用し、複製し、配布できることは、今後のトレンドになるであろうことから、富田林市が取り組む、これらのチャレンジを皆様に紹介する。